ニキビ
にきびは多くの方が思春期に経験するごくありふれた疾患です。女性は12~13歳頃、男性は13~14歳ごろからニキビができはじめ、17~19歳頃にピークを迎えます。ある程度年齢が上がるとできなくなるのが通常の経過です。また好発部位が顔面を中心に背中や胸のような外から見える場所であるために、症状を悪化させ回復困難なニキビ跡を作らないことが重要な治療目的です。
毛穴についている皮脂腺から皮脂の分泌が増えることや毛穴が詰まりやすくなり皮脂の排出がうまく行われないなどが原因で毛穴の中にたまった皮脂の中でニキビ菌が繁殖することで赤く膿んだニキビとなります。
思春期を過ぎると症状が落ち着き消失しますが、20代以降30代でできる大人のニキビもあります。口周りやあご、首回りを中心にできることが多いです。
治療は、抗生物質や皮脂の詰まりを改善する薬の内服をおこないます。また、自費診療となりますが当院でも行っているサリチル酸マクロゴールを用いたケミカルピーリングも皮脂のつまり改善に対して有効な方法です。
赤ちゃんの湿疹、かぶれ
生後3か月ぐらいまでの赤ちゃんは、頭や顔の皮脂分泌が多く皮膚の新陳代謝が活発なこの時期に特有の湿疹、皮膚炎の一種である脂漏性皮膚炎がよく起こります。症状の特徴は頭や顔に黄色いかさぶたのようなフケの発生です。皮脂の分泌が盛んなために起こった症状ですので、石鹸で清潔に洗うことが改善のためのスキンケアとして大切です。そのほかの部位でも耳の後ろ、首回り、わきの下の洗い残しにも注意が必要です。
また、便や尿の刺激でかぶれるおむつかぶれもよく見られます。赤いブツブツやただれが生じ、痒みや痛みを伴います。患部をよく洗うことやワセリンなどを塗ることで改善しますが改善が見られない場合やひどい場合は皮膚科受診をお勧めします。
とびひ
虫刺されやあせもなどを掻きこわした傷に黄色ブドウ球菌や溶連菌などが感染し、かゆみを伴った水ぶくれやかさぶたが発生します。更にはそれを搔き壊すことにより起こるびらんが主な症状です。患部の分泌液が別の部位に付着することで病変があちこちと広がることが特徴的な子供に多い病気です。
人から人へうつるので保育園などで集団発生することがあります。溶連菌が原因の場合は、のどの痛みや発熱を伴う場合もあります。患部を優しく丹念に洗い清潔に保つこと、タオルの共有はしないこと、爪を短く切り虫よけなどで虫刺されを予防することが日常のケアとして重要です。
まれな事ではありますが、高熱、皮膚の強い赤みや痛みなどがみられる「ブドウ球菌性熱傷様皮膚症候群」に進展することがあり、症状がひどい場合や自宅でのスキンケアで改善が見られない場合は早期に皮膚科を受診し治療を行う事をお勧めします。
うおのめ(鶏眼)、タコ(胼胝)
魚の目もタコも皮膚の角質層が厚くなり表面が固く変化したものです。皮膚に加わった外力に対して、負けじと反応し厚くなったり皮膚が押し寄せられたりしてできます。魚の目はその中央に固い芯を伴います。好発部位である足底にできると立ち仕事をしたり歩いたりする際に芯による刺激で痛みます。タコの場合は芯がないために患部を圧迫されても痛みはありません。
原因が外力なので一旦取り除いても同様の外力がかかり続ければまた再発するということも珍しくありません。特に痛みを伴う魚の目は、靴の見直しによる外力の軽減が効果的な事が多く、足に合わない靴、ハイヒールなど先端の細い靴や足幅の狭い靴を避けることやクッション性の高い中敷き(インソール)を使用することで改善が期待できます。
虫刺され
昆虫に咬まれたり毛虫の毒毛に接触したり体液に触れたり、吸血されるなどで起こる皮膚炎です。炎症の強さにより症状が広がったり跡が残ったりすることもあります。様々な昆虫により起こりますが、代表的な症状は痛みや腫れ、かゆみ、アレルギーなどです。マダニやツツガムシに代表されるような病原体を媒介する昆虫に咬まれることによる感染症もあり発熱や倦怠感、下痢や嘔吐などの消化器症状にも注意が必要です。
一般的な症状のかゆみや局所の痛みには副腎皮質ホルモンの外用や内服で治療を行います。