イボ

 皮膚の一部が盛り上がった小さなできもので「ヒトパピローマウイルス」というウイルスが、皮膚の小さなキズから感染することで発症します。痛みなどの自覚症状はほとんどありません。
皮膚の小さな傷から感染することより引っ掻くことの多いかゆみを伴ったアトピー性皮膚炎の子供の皮膚は感染しやすい環境なので注意が必要です。ウイルスの感染力は強くないですが、手指などイボの発生している部位と隣あった部分とが頻繁に触れることで感染し、多発することもあります。治療は、液体窒素で凍らせて除去する凍結療法が一般的です。
プールなどを介して感染する水イボは、このイボのウイルスとは異なる種類のウイルスが原因で、感染しやすさや治療方法も異なります。

脂漏性角化症(老人性イボ)

 紫外線や加齢によって発生する皮膚の良性腫瘍で老化によるイボです。茶色から黒色をした皮膚の盛り上がりで、表面がカサカサした形状で中高年の顔や首など日の当たる場所に発生することが多いです。一見すると濃いシミのようにも見えるため、シミを気にして来院し実際はイボであることもあります。大きさや部位によって手術、凍結療法、炭酸ガスレーザーによる治療が行われますが、多くの場合は、液体窒素を用いた凍結療法を複数回の通院で実施する事により治療が可能です。

粉瘤

 皮膚にできた良性腫瘍でよく脂肪の塊と言われていますが、実際のところ内部には垢が溜まっています。内部が細菌感染をおこし真っ赤に腫れ痛みを生じた状態で来院されることもあります。
 治療は、内部の袋ごと取り除く手術が一般的です。局所麻酔を行い外来で行うことができます。感染を起こしている場合は、内部の膿を取り除き、洗浄や抗菌剤、痛み止めなどの内服で炎症を鎮め必要に応じて手術で取り除くことを検討します。

稗粒腫(はいりゅうしゅ)

 表皮の下に出現した直径1-2mmの白~黄白色の硬いブツブツで良性の腫瘍です。そのまま放置しても特に健康上の支障はありません。
眼の周りや頬、陰部などが好発部位です。痛みや痒みはありませんが、白いニキビのように見え、目の周りや頬など顔面の目立つ部位に多発し、お化粧でも隠すのが難しい為、美容的観点から治療を希望される方も少なくありません。

ホクロ

 ホクロは、皮膚や髪の毛の色素であるメラニン色素を作る細胞が集まってできています。黒いイメージがあるかもしれませんが褐色や茶色のものもあります。形状は、平らな物からデコボコと盛り上がった物まであり、先天的な物もあれば成長するにしたがって現れる物もあります。このように一口にホクロと言っても様々なタイプがあることと、近年は手軽に健康情報が入手できることにより、ホクロとよく似た病気を心配されて来院される方がいらっしゃいます。また、ホクロそのものの除去を希望されて来院される方もいます。
ホクロの除去は、審美的な場合を除き保険診療で行うことができます。何かに引っかかるとか視野の妨げになるなど日常生活上不便を生じる場合やホクロ以外の良くない病気の可能性がある場合などです。
ホクロとよく似た病気には、老人性疣贅(ゆうぜい)、基底細胞ガン、悪性黒色腫などがあります。大きさが6mmを超えるものや、左右対称でないもの、境界部分がぼやけているもの、色が極端に濃いものや濃淡の目立つものについては、注意が必要ですので早めの受診をお勧めします。

巻き爪

 爪の端が湾曲し皮膚に食い込んだもので、痛みや感染をおこし化膿した状態で来院されることが良くあります。不適切な爪切りや靴の使用などにより症状が悪化することがあります。足の親指が好発部位でひどくなると歩行する事さえ困難な痛みを感じます。歩行や立ち仕事など日常生活で足の指にしっかり体重がかかっていない生活様式が長く続くと発症しやすいと考えられています。
軽症の場合は痛み止めや化膿止めの内服と爪切り、生活様式の改善などのセルフケアで改善する場合もあります。ひどい場合や改善が見られず痛みや細菌感染が頻発するような場合には、皮膚に食い込んだ部分を切り取り、爪の生えぎわを薬品で処置する手術や自費診療となりますが弾性ワイヤーで矯正する方法などで治療を行います。