顔や手足のケガ

 転んだ拍子に顔や腕を擦りむいたり、物に当たって皮膚を含めた組織が引き裂かれたり、刃物などの鋭利なもので切れた、細長いもので突き刺さるなどしてできた様々な外傷(ケガ)があります。
どのケガも傷口を清潔にした状態で受傷後6~8時間以内のできるだけ早期に医療機関を受診することがきれいな治癒や治癒までの期間の短縮のためには重要なことです。
皮膚だけでなく皮下組織まで損傷しているような深い傷や傷の内部に異物が残りやすい刺し傷、感染の危険性が高い炎や化学薬品による火傷や人や動物に咬まれた咬傷は、特に医療機関の受診をお勧めします。

火傷

 やけどには3段階の症状があり、1段階目の軽度であれば、皮膚の表面が赤くなってヒリヒリする程度で水ぶくれはできません。しかし、2段階目以上の中~重傷になると、強い痛みと共に水ぶくれが生じることがあります。
火傷の範囲が広範囲の場合や程度がひどい場合、ひりひりとした痛みが長く続く場合、水ぶくれができてしまった場合などは医療機関を受診しましょう。
早めの処置が、治癒を長引かせず跡を残さないためにとても大切です。水ぶくれができてしまった場合は自分の判断でつぶさずにそのままの状態で受診するようにしてください。
火傷をしてしまった直後は、流水やシャワーで冷やしてください、流水やシャワーを掛けることができない部位は氷水で冷やしたタオル、保冷剤や氷を包んだ冷たいタオルを こまめに替え冷やします。やけどの深さが進行するのを止め、やけどの跡がすこしでも残りにくくなります。また、やけどの痛みに対しても効果があります。時間は、5分から30分程度は冷やしましょう。氷水のような1分の我慢も大変に感じる低温の水で冷やす必要ありません。

咬傷

 動物に咬まれることでできる外傷です。咬み付かれたあとは、動物がもつ病原体によって感染症を発症することがあります。動物に咬まれた場合は、すぐに傷口を洗うことが重要です。その際は石鹸と綺麗な水でよく洗うことが大切です。
その後の治療は、咬まれた状況やその後の症状によってさまざまです。野生動物の場合はもとより一般の家庭で飼われているイヌやネコなどのペットに咬まれることでも、幅広い菌種に網羅的に効果がある抗菌剤を投与することや破傷風予防の処置として、破傷風ワクチンの接種歴を確認したうえでワクチンの接種を行う場合もあります。

褥瘡(床擦れ)

 皮膚が外部から長時間同一部位の圧迫を受けたことにより血流が悪くなった部位が赤くなったりただれたり傷になることがあります。これが褥瘡で体の自由が利かなくなり長時間おなじ姿勢で横になることで体重によって骨の突起部がベッドと挟まれて起こすことが典型的な発生パターンです。栄養状態が悪い方や心肺機能が落ちている方、糖尿病の基礎疾患のある方は特にできやすいとされています。治療は、塗り薬や傷を保護するフィルムなどで行いますが、重症の場合は外科的な処置も含めて検討します。このような治療と併用して褥瘡発生の原因となった長時間の圧迫を避けることや傷を清潔に保つこと、栄養状態や基礎疾患の管理を総合的に行う事が非常に重要です。

ケロイド、傷跡

 ケガや手術、ニキビなどの傷が治った際に、赤くミミズ腫れのように盛り上がった傷跡が残ることを肥厚性瘢痕(ひこうせいはんこん)と言います。お腹や胸の手術の傷や関節など皮膚が引っ張られて伸び縮みする部位や深い傷などはこの傷跡が残りやすいです。かゆみや痛みが生じるだけでなく、炎症が落ち着き一定期間を経過後に平坦化しても正常な質感の皮膚とはならず目立つことも多い。
また、炎症が非常に強い傷跡でケロイドと言われるものとなると非常に治りにくく傷跡も汚くなりがちです。発症には肥厚性瘢痕と異なり「ケロイド体質」が大きく関与しています。胸や肩などが好発部位です。ピアスの傷やニキビのような小さな傷でもケロイドを起こすことがあります。
 治療は、テープやスポンジなどによる圧迫療法や貼り薬や軟膏、飲み薬、注射などの薬物療法があります。場合によっては手術を行うこともあります。